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第72回日本小児保健協会学術集会

会頭挨拶

越田 理恵

第72回 日本小児保健協会 学術集会
会頭越田 理恵
(金沢市福祉健康局 金沢市保健所 所長)

 このたび「第72回日本小児保健協会 学術集会」を石川県立音楽堂を主会場に、金沢市で開催させていただくことになりました。歴史ある学術集会ですが、金沢での開催は、1964年(金沢大学:佐川一郎教授)、1993年(金沢医科大学:四家正一郎教授)に続き3回目となります。
 金沢は、前田利家が礎を築き、加賀百万石を守り抜いた城下町で、多くの有形無形の歴史遺産、伝統文化が残っています。加えて雪深い北陸ならではの人の情の厚さと心根の優しさの中で、子育てをしてきた私は、この街のこども達へ、そしてこの街でこどもに関わっているすべての方々へ、できる限りのご恩返しをしたいという思いで今日に至っています。メインテーマ “こどもたちに夢と希望を贈る「子育て文化」の創造” にそんな思いを込めました。
 私は、臨床経験を経て入庁した「市役所のお医者さん」として、これまでこどもに関わる様々な事業に携わって参りました。命を守る最高の医療を全てのこどもに等しく提供したい。こどもを取り巻く様々な社会環境の中で、全てのこどもが「自分は大人から大切にされている」実感を持つことができるような温もりのある日常を守っていきたい。また、保健所長就任後は、100年に一度のパンデミックと4,000年に一度と言われる大規模な能登半島地震を経験し、平時からの備えがあれば、有事の機動力がある程度担保できることを身をもって体験した一方で、有事だからこそ、こどもが置き去りにされてはならないと、強く感じた次第でした。
 これらの思いを、こどもに関わる全ての皆様と共有し、笑顔で語り合えるような、そんな学術会議を目指して、「オール石川」で準備を進めてまいります。
 金沢は、第二次世界大戦で空襲を免れたため、伝統建造物や古い町並み、そして兼六園をはじめ大小の庭園が数多く残っています。また、これらの歴史遺産に加えて、シンボリックな金沢駅もてなしドーム及び堤門、金沢21世紀美術館、東京から移転した国立工芸館などの新しい建物が、違和感なく見事に調和しています。街づくりの理念を大事にして、市民自らも少し窮屈に感じるくらいの規制を守ってきた「未来に繋ぐ遺産」です。ゆっくりと散策して、街並みをお楽しみください。また、食に贅沢であった加賀百万石の食文化を引き継いで、新鮮な海の幸に加えて、華やかな加賀料理、地元素材を活かしたお洒落なフレンチやイタリアン、等々、「プチ贅沢」もお楽しみいただけると思います。是非、ご堪能下さい。
 ポスターに掲載した図画は、金沢市在住の特別支援学校に在学中のお子さんが描いたものです。笑顔あふれる楽しい表情、昨今の厳しい社会情勢を柔らかく包み込むように「みんなで歌おう」と命名されています。学術集会では、ご家族にも登壇していただくことになっています。また会期中に、石川県の医療従事者を中心に結成され、定期的に病院内コンサートを継続してきた「メディカルオーケストラ金沢」の演奏会を企画しています。楽器を演奏される方は楽器ご持参で金沢にお越しになって、ご一緒に演奏しませんか? 大歓迎です。 ご参集の全ての皆様とともに、有意義な3日間を楽しませていただきたいと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。