第22回日本分子脳神経外科学会

会長挨拶

中田光俊会長

第22回日本分子脳神経外科学会の開催にあたって

  • 第22回日本分子脳神経外科学会
  • 会長 中田 光俊
  • (金沢大学 脳神経外科 教授)

 このたび、第22回日本分子脳神経外科学会を、2022年7月22日(金)・23日(土)の日程にて開催いたします。2020年はweb学会元年で、コロナ禍で現地開催が困難となった全国の学術集会はwebを導入するようになりました。そこから2年を経て、本会は石川県立音楽堂での対面集合型の現地開催とweb活用の併催を予定しております。
 本学会の会則第2条には「本会は脳神経外科疾患(脳腫瘍、脳血管障害、脳・脊椎外傷、中枢神経の奇形、てんかん、パーキンソン氏病をはじめとする機能性脳神経疾患等)について、分子生物学・細胞生物学の観点から、診断・治療法の開発を推進することにより、脳神経外科診療と研究の向上に資することを目的とする。」とあります。この趣旨を踏襲し、有意義な学会にしたいと思います。
主題は「分子医療の知」とさせていただきました。本会は1999年に日本分子脳神経外科研究会として発足し、「脳と免疫」研究会がこれに加わり2001年に日本分子脳神経外科学会に移行いたしました。第22回を数える本会に至るまでに多くの基礎研究成果が発表され、脳神経外科疾患の病態メカニズムの解明および臨床応用への実装化が叶ってきました。今後もこれら分子医療の知が本会を通じて醸成され、患者さんに届いてほしいと願っています。
 ポスターは本学会のイメージをイラスト化したものです。脳疾患の基礎研究を大きな水玉で表現しており、その基礎研究からしたたる一つ一つの研究成果、一滴一滴の分子医療の知が水面で大きく広がっています。これは本学会で得られる知見が臨床応用につながり、広く患者さんに恩恵をもたらすことを示しています。
 本会では海外特別講演を米国ケンタッキー州のルイビル大学で創薬研究に邁進されているProf. Nobuyuki Matobaにお願いしてあります。キャリアの初期はエイズの研究者でしたが、最近新機軸のがん研究を展開している研究者です。脳神経外科医に新たな研究視点を示し、ご自身の経験から留学の意義についてもお話いただけるものと思います。現地あるいはWebによりご講演を賜ります。教育講演は金沢大学脳神経医学研究分野の河崎洋志 教授にお願いいたしました。学生に人気の教室を主宰され、脳回の発生に関する研究でご高名な先生です。脳研究の楽しさを伝えていただけるものと思います。
 研究者にとりましては少しでも良い雑誌に研究成果を掲載させたいものです。本会では、特別企画として、よりインパクトの高い研究成果にするコツを知ることができるような企画を組みたいと考えています。
 昨今、日本の基礎研究の低迷が叫ばれています。脳神経外科医療における分子医療の知を広め、日本の脳神経外科領域における基礎研究を底上げできればと思います。本会の最大の利点は、自身の基礎研究を多くの先生方に聴いていただき意見交換を行うことで、研究のさらなる飛躍を狙える点にあります。参加される先生方におかれましては、自身の研究に新たな視点を加えていただくとともに共同研究を立ち上げ、共創グループを形成する場としてご活用いただきたいと願っております。 多くの会員の先生方のご参会を何卒よろしくお願い申し上げます。